「アリスの国の殺人」の感想。二つの事件が進行するミステリー作品。本当の現実とはいったい何なのか??

新装版「アリスの国の殺人」をつい先日読み終わりました。

この作品を読み終わった時に思ったのが、タイトルにもあるように「現実っていったい何なんだ!?」。

そう思ってしまう作品になります。

 

✔ アリスの国の殺人の概要

  • 著者 辻 真先
  • 発行者 小宮 栄行
  • 発行所 株式会社徳間書店

 

この作品は1990年6月に刊行された徳間文庫の新装版になります。

新装版の発行は2021年7月15日が初版。

金額は本体価格680円+税でした。

 

 

物語の内容

 

編集者をつとめる主人公が2つの事件に遭遇する内容になっています。

物語の時代背景は手塚治虫さんが生きていた1950年前後のはなし。

マンガが庶民の娯楽として爆発的人気があった時代でもある。

 

✔ 二つの事件

主人公が遭遇する事件は2つ。

  1. 現実での編集長殺人事件
  2. 夢でのチェシャ猫殺猫事件

 

2つの事件が同時進行する中で主人子が何を思いどういった行動をしているのかが書かれています。

主人公はどういった人物なのか??

 

主人公

 

名前は綿畑克二(わたはたかつじ)

 

特徴

  • 童話「不思議の国のアリス」が大好き
  • 女性には奥手
  • マンガの編集者
  • 文学作品には詳しいがマンガの事はわからない
  • ある病気の兆候がある

 

「不思議の国のアリス」が好きすぎて子供の頃は同年代の女子があまり好きになれなかった主人公。

気になる女性もいたのだが・・・想像にお任せする。

 

アリス以外にも文学小説などの本を読んでおり本好き。

その影響で出版社に入社するも配属されたのは希望の部署ではなくマンガの編集者。

日々漫画家相手に苦労している。

 

✔ 重要部分

主人公にはある病期の兆候が見られた。

 

閃光暗点(せんきあんてん)

若い時に回数が多く、年を取るにつれて回数が減っていくとされる。特徴としては突然視野の中にギザギザやキラキラした光が見えて全体に広がり突然暗くなって見えなくなってしまう病気。その後片頭痛が起こります。作中では気を失うレベルまで書かれていますが、そこまでいくのは稀で大抵はふらつく程度になります。

 

今回の作品でこの病気と主人公のアリス大好きが原因であることが起こってしまう。

 

読んだ感想とオススメポイント

 

この作品を読んだ感想は「夢や小説なんかより現実の方が恐ろしい場合が多い」。

 

主人公が遭遇する二つの事件。

この事件が夢ではファンタジーに描かれている部分もありますが、現実では夢よりも残酷なことがおきる。

人は夢の中では生きられはしないけれど夢を持たないとただの”生きる屍”になってしまうと痛感した。

 

夢の事件は「不思議の国のアリス」を題材にした夢なのでコミカルにファンタジーちっくに書かれているものの、現実の事件は人間の醜いエゴと欲望が書かれた作品でもあった。

この本を手にとった時に表紙の”2つの事件”気になった購入したのですが、個人的には事件より人間の裏の部分を注目して読んでもらいたい。

 

事件自体は後半に一気に動きますが、それまでのはなしとは違い欲望まみれの内容となっています。

ただ一つを除いては・・・。

 

✔ オススメポイント

  • 主人公の病気
  • 殺害された人物の性格
  • 主人公の勤め先と同じ業界の会社
  • 業界における当時のマンガのとらえ方

 

これらに注目して読んでもらえるとこの作品をより深く理解できると思います。

主人公の病気に関して言えば「アリス症候群」かと思ったりもしましたが、それでも説明できない部分も多くありました。

やはり残酷な現実を見てしまったら人はだれしも壊れてしまうものなのでしょうか・・・。

 

まとめ

 

個人的には読んでよかった。

ミステリー作品は様々な謎解きがあるものから人間関係を軸とした作品まで数多く存在しますが、こちらの作品は人間関係を主軸としたミステリーだった。

 

なぜ殺害されたのか。

その理由が分かるとモヤモヤとした気持ちが晴れてスッキリする感覚はやっぱりいいものですね。

私は仕事の休憩時間に読んでいるので休憩が終わった後の時間は頭の中で本の考察大会ですよ。

ものすごく暇な職場なので(笑)。

 

次に読んでいるのが「人間失格」

そういえば読んでいなかったなと思い今読んでいる最中になります。

映画でも作られていた記憶があるので小説を読んだらそちらも見てみようと思います。

確か何作品かあった気がする・・・。

 

今回はここまでになります。

見ていただいてありがとうございます。